「誰かが、花びらの一片を剥いでしまったのだよ」
“フロラ”は旅をする。
かつての王国、いつかの故郷、どこかの庭園、そして愛すべき花たち。
七つ色の記憶を頼りに、春夏秋冬を流浪する。
失くしてしまった八つ目の色を探すため。
お供のアンブレラを小脇に抱えて。
花の美しさは限りあるもの。
やがて土へ還り、新しい美を生み出す糧となる。
その土も雨で流されて、海へと戻っていく。
世界はこうして循環する。
私は名を名乗らない。
時に妖精で、時に女神。
ただし、少女。
人が私をそうやって呼ぶだけ。


